冷たい熱帯魚【2010年/邦画】感想・あらすじ 「この素晴らしき世界。」

 Tsumetai nettaigyo
(2010) on IMDb

 

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感想

冷たい熱帯魚を見終わった後、何とも言えない感覚に包まれた。心臓がバクバクして、頭の中は混乱状態だった。それだけこの映画には圧迫感がある。主人公は熱帯魚店を経営している、冴えないおっさん社本。彼は普通の人で、家庭に問題があっても、普通の生活をしている。だから感情移入してしまい、心の中で「しっかりしろ!」と応援したくなってしまう。ところが娘の万引きをきっかけに彼の人生の歯車が狂い始める。

オープニングで冷めきった家族を描いてから、物語はどんどん狂気へと加速していく。冴えないおっさん社本がどんどん狂った世界へ引き込まれる様は見てて心がいたかった。また、映画の狂人たちと映画内の優雅なクラシック音楽が意外にもマッチしていて良いコントラストだった。

宇宙が頻繁に出てくるこの作品には、自分たちがいかに小さいのか思い知らされた。どんなに救いようの無い世界でも、どんなにつらい人生でも、宇宙というスケールから見ればそんなの何でも無いさ。胸くそ悪い程残虐なこの作品に一種の救いを提案した監督に拍手。

僕たち一般人の人生がいかに簡単に崩れてしまうのか見せてくれる映画だった。そう、何にせよこの映画のストーリーは実際に起こった「埼玉愛犬家連続殺人事件」をベースにしている。だからよけいに身近なシチュエーションに感じてしまう。

本当に救いようの無い映画、そして極度の暴力とヌードが見たい方は是非見てみてください。そのかわり本当にグロいのでお気をつけて。(内臓、切断etc...)

印象に残った名言:

村田:ボデーを透明にするんだよ、ボデーを。/ 吉田さん!また会おうぜっ!

社本: 人生ってのはな、痛いんだよ!

 

PS:そういえば村田のビジネスセンスには目を引くものがあったと思う。頭がぶっ飛んでる事をのぞけばイイ事言うし、すごい人だと思う。もちろん頭ぶっ飛んでるけど。

トレイラー

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あらすじ

熱帯魚店を営んでいる社本(吹越満)と妻の関係はすでに冷え切っており、家庭は不協和音を奏でていた。ある日、彼は人当たりが良く面倒見のいい同業者の村田と知り合い、やがて親しく付き合うようになる。だが、実は村田こそが周りの人間の命を奪う連続殺人犯だと社本が気付いたときはすでに遅く、取り返しのつかない状況に陥っていた。

 

シネマトゥデイ (外部リンク)

 

冷たい熱帯魚』

監督・脚本:園子温
原作:原田智英

2010年日本
出演:吹越満、でんでん、黒沢あすか神楽坂恵、他